雪の女王 / Crăiasa zăpezii. Şapte povestiri — in Japanese and Romanian. Page 2

Japanese-Romanian bilingual book

ハンス・クリスチャン・アンデルセン

雪の女王

Hans Christian Andersen

Crăiasa zăpezii. Şapte povestiri

そこでゲルダは、なにもかも、おばあさんに話しました。おばあさんはうなずきながら、「ふん、ふん。」と、いいました。ゲルダは、すっかり話してしまってから、おばあさんがカイをみかけなかったかどうか、たずねますと、おばあさんは、カイはまだここを通らないが、いずれそのうち、ここを通るかもしれない。まあ、そう、くよくよおもわないで、花をながめたり、さくらんぼをたべたりしておいで。花はどんな絵本のよりも、ずっときれいだし、その花びらの一まい、一まいが、ながいお話をしてくれるだろうからといいました。

Gretchen i-a spus tot. Baba asculta, dădea din cap şi zicea numai „Hm, hm!”. Şi când Gretchen a isprăvit de povestit şi a întrebat-o dacă nu l-a văzut cumva pe Karl, baba a răspuns că n-a trecut pe-acolo, dar că are să vie el, să se uite la flori, că-s mai frumoase decât toate cărţile cu poze şi fiecare din ele ştie câte o poveste.

それからおばあさんは、ゲルダの手をとって、じぶんのちいさな家へつれていって、中から戸にかぎをかけました。

Şi baba a luat-o pe Gretchen de mână şi s-a dus cu ea în casă şi a încuiat uşa după ce au intrat.

その家の窓は、たいそう高くて、赤いのや、青いのや、黄いろの窓ガラスだったので、お日さまの光はおもしろい色にかわって、きれいに、へやのなかにさしこみました。つくえの上には、とてもおいしいさくらんぼがおいてありました。そしてゲルダは、いくらたべてもいいという、おゆるしがでたものですから、おもうぞんぶんそれをたべました。

Ferestrele erau foarte sus şi geamurile erau roşii, albastre şi galbene. O lumină tare ciudată pătrundea prin ele. Pe masă era o farfurie mare plină de cireşe frumoase şi Gretchen s-a aşezat şi a mâncat cireşe câte a vrut, fiindcă avea voie să mănânce cât îi place.

ゲルダがさくらんぼをたべているあいだに、おばあさんが、金のくしで、ゲルダのかみの毛をすきました。そこで、ゲルダのかみの毛は、ばらの花のような、まるっこくて、かわいらしい顔のまわりで、金色にちりちりまいて、光っていました。

Pe când mânca, baba a pieptănat-o cu un pieptene de aur şi părul s-a cârlionţat şi a căpătat o strălucire minunată, şi chipul fetiţei, rotund şi bucălat, era ca trandafirul.

「わたしは長いあいだ、おまえのような、かわいらしい女の子がほしいとおもっていたのだよ。さあこれから、わたしたちといっしょに、なかよくくらそうね。」と、おばあさんはいいました。

— De mult mi-am dorit o fetiţă drăgălaşă, aşa ca tine, a spus baba. Ai să vezi ce bine avem să ne împăcăm noi împreună!

そしておばあさんが、ゲルダのかみの毛にくしをいれてやっているうちに、ゲルダはだんだん、なかよしのカイのことなどはわすれてしまいました。というのは、このおばあさんは魔法まほうが使えるからでした。けれども、おばあさんは、わるい魔女まじょではありませんでした。おばあさんはじぶんのたのしみに、ほんのすこし魔法を使うだけで、こんども、それをつかったのは、ゲルダをじぶんの手もとにおきたいためでした。

Şi tot pieptănându-i baba părul, Gretchen a uitat de prietenul ei Karl, fiindcă baba făcea farmece, dar nu era o vrăjitoare rea. Vrăjea numai aşa, ca să-şi treacă vremea şi să trăiască mulţumită. Şi ar fi vrut să rămână Gretchen la dânsa, fiindcă îi plăcea fetiţa.

そこで、おばあさんは、庭へ出て、そこのばらの木にむかって、かたっぱしから撞木杖をあてました。すると、いままでうつくしく、さきほこっていたばらの木も、みんな、黒い土の中にしずんでしまったので、もうたれの目にも、どこにいままでばらの木があったか、わからなくなりました。

De aceea s-a dus în grădină, a pălit cu cârja toţi trandafirii câţi erau pe-acolo şi toţi au căzut şi-au intrat în pământ, şi acuma nici nu se mai cunoştea pe unde fuseseră.

おばあさんは、ゲルダがばらを見て、自分の家のばらのことをかんがえ、カイのことをおもいだして、ここからにげていってしまうといけないとおもったのです。

Pasămite baba se temea că Gretchen, când are să vadă trandafirii, are să se gândească la trandafirii ei de-acasă şi atunci are să-şi aducă aminte de Karl şi are să fugă.

さて、ゲルダは花ぞのにあんないされました。――そこは、まあなんという、いい香りがあふれていて、目のさめるように、きれいなところでしたろう。花という花は、こぼれるようにさいていました。そこでは、一ねんじゅう花がさいていました。どんな絵本の花だって、これよりうつくしく、これよりにぎやかな色にさいてはいませんでした。

După asta, baba a dus-o pe Gretchen în grădină. Ce mireasmă şi ce frumuseţe era aici! Toate florile de pe lume şi din toate anotimpurile le găseai aici înflorite; nici o carte cu poze nu era mai frumoasă.

ゲルダはおどりあがってよろこびました。そして夕日が、高いさくらの木のむこうにはいってしまうまで、あそびました。それからゲルダは、青いすみれの花がいっぱいつまった、赤い絹のクションのある、きれいなベッドの上で、結婚式の日の女王さまのような、すばらしい夢をむすびました。

Gretchen a sărit în sus de bucurie şi s-a jucat prin grădină până seara, când soarele s-a lăsat după cireşi; apoi s-a culcat într-un pat cu perne de mătase roşie, brodate cu toporaşi, şi a dormit şi a visat tot visuri frumoase, cum visează numai o crăiasă în ziua nunţii.

そのあくる日、ゲルダは、また、あたたかいお日さまのひかりをあびて、花たちとあそびました。こんなふうにして、いく日もいく日もたちました。

A doua zi, Gretchen s-a jucat iar cu florile prin grădină cât a vrut. Aşa a trecut multă vreme.

ゲルダは花ぞのの花をのこらずしりました。そのくせ、花ぞのの花は、かずこそずいぶんたくさんありましたけれど、ゲルダにとっては、どうもまだなにか、ひといろたりないようにおもわれました。でも、それがなんの花であるか、わかりませんでした。

Gretchen cunoştea acuma fiecare floare, dar, deşi era o mulţime, ei i se părea că lipseşte una. Care anume nu ştia.

するうちある日、ゲルダはなにげなくすわって、花をかいたおばあさんの夏ぼうしを、ながめていましたが、その花のうちで、いちばんうつくしいのは、ばらの花でした。

Iată însă că într-o bună zi sa uitat mai bine la pălăria de soare pe care o purta baba şi care era zugrăvită cu flori, şi a văzut printre florile zugrăvite şi un trandafir, care era mai frumos decât toate celelalte.

おばあさんは、ほかのばらの花をみんな見えないように、かくしたくせに、じぶんのぼうしにかいたばらの花を、けすことを、ついわすれていたのでした。

Baba uitase să şteargă de pe pălăria ei trandafirul atunci când surghiunise în pământ trandafirii din grădină.

まあ手ぬかりということは、たれにでもあるものです。

Dar, ce să-i faci, aşa-i întotdeauna când nu bagi bine de seamă!

「あら、ここのお庭には、ばらがないわ。」と、ゲルダはさけびました。
 それから、ゲルダは、花ぞのを、いくどもいくども、さがしまわりましたけれども、ばらの花は、ひとつもみつかりませんでした。そこで、ゲルダは、花ぞのにすわってなきました。ところが、なみだが、ちょうどばらがうずめられた場所の上におちました。あたたかいなみだが、しっとりと土をしめらすと、ばらの木は、みるみるしずまない前とおなじように、花をいっぱいつけて、地の上にあらわれてきました。ゲルダはそれをだいて、せっぷんしました。そして、じぶんのうちのばらをおもいだし、それといっしょに、カイのこともおもいだしました。

— Cum? a spus Gretchen. Să nu fie oare aici nici un trandafir?
Şi s-a dus repede în grădină, şi a căutat în toate straturile, dar n-a găsit nici un trandafir. Şi atunci s-a aşezat jos şi a început să plângă; şi lacrimile ei au căzut tocmai pe locul unde fusese îngropată o tufă de trandafir, şi când lacrimile calde au udat ţărâna, tufa a ieşit deodată din pământ, tot aşa de înflorită ca atunci când fusese îngropată. Gretchen a îmbrăţişat trandafirul, a sărutat florile şi s-a gândit la trandafirii ei frumoşi de-acasă şi la Karl.

「まあ、あたし、どうして、こんなところにひきとめられていたのかしら。」と、ゲルダはいいました。「あたし、カイちゃんをさがさなくてはならなかったのだわ――カイちゃん、どこにいるか、しらなくって。あなたは、カイちゃんが死んだとおもって。」と、ゲルダは、ばらにききました。

— De ce m-am oprit eu oare aici? a spus fetiţa. Eu voiam să-l caut pe Karl. Voi ştiţi unde-i? a întrebat ea trandafirii. Ce credeţi, a murit?

「カイちゃんは死にはしませんよ。わたしどもは、いままで地のなかにいました。そこには死んだ人はみないましたが、でも、カイちゃんはみえませんでしたよ。」と、ばらの花がこたえました。

— Nu, n-a murit, au spus trandafirii. Noi am fost în pământ şi în pământ sunt toţi morţii, dar Karl nu-i printre ei.

「ありがとう。」と、ゲルダはいって、ほかの花のところへいって、ひとつひとつ、うてなのなかをのぞきながらたずねました。「カイちゃんはどこにいるか、しらなくって。」

— Vă mulţumesc de ce mi-aţi spus! a zis Gretchen şi s-a dus la celelalte flori, s-a uitat în potirul fiecăreia din ele şi a întrebat: nu ştiţi unde-i Karl?

でも、どの花も、日なたぼっこしながら、じぶんたちのつくったお話や、おとぎばなしのことばかりかんがえていました。ゲルダはいろいろと花にきいてみましたが、どの花もカイのことについては、いっこうにしりませんでした。

Dar florile se încălzeau la soare şi visau la ce le plăcea lor să viseze şi nici una nu ştia ce-i cu Karl.
— Degeaba mai întreb florile, şi-a răspuns Gretchen. Ele ştiu numai ce se întâmplă cu dânsele şi de altceva habar n-au!

ところで、おにゆりは、なんといったでしょう。


「あなたには、たいこの音が、ドンドンというのがきこえますか。あれには、ふたつの音しかないのです。だからドンドンといつでもやっているのです。女たちがうたう、とむらいのうたをおききなさい。また、坊ぼうさんのあげる、おいのりをおききなさい。――インド人じんのやもめは、火葬かそうのたきぎのつまれた上に、ながい赤いマントをまとって立っています。焔ほのおがその女と、死んだ夫おっとのしかばねのまわりにたちのぼります。でもインドの女は、ぐるりにあつまった人たちのなかの、生きているひとりの男のことをかんがえているのです。その男の目は焔よりもあつくもえ、その男のやくような目つきは、やがて、女のからだをやきつくして灰にする焔などよりも、もっとはげしく、女の心の中で、もえていたのです。心の焔は、火あぶりのたきぎのなかで、もえつきるものでしょうか。」


「なんのことだか、まるでわからないわ。」と、ゲルダがこたえました。


「わたしの話はそれだけさ。」と、おにゆりはいいました。


ひるがおは、どんなお話をしたでしょう。


「せまい山道のむこうに、昔のさむらいのお城がぼんやりみえます。くずれかかった、赤い石がきのうえには、つたがふかくおいしげって、ろだいのほうへ、ひと葉ひと葉、はいあがっています。ろだいの上には、うつくしいおとめが、らんかんによりかかって、おうらいをみおろしています。どんなばらの花でも、そのおとめほど、みずみずとは枝にさきだしません。どんなりんごの花でも、こんなにかるがるとしたふうに、木から風がはこんでくることはありません。まあ、おとめのうつくしい絹の着物のさらさらなること。
 あの人はまだこないのかしら。」


「あの人というのは、カイちゃんのことなの。」と、ゲルダがたずねました。


「わたしは、ただ、わたしのお話をしただけ。わたしの夢をね。」と、ひるがおはこたえました。


かわいい、まつゆきそうは、どんなお話をしたでしょう。


「木と木のあいだに、つなでつるした長い板がさがっています。ぶらんこなの。雪のように白い着物を着て、ぼうしには、ながい、緑色の絹のリボンをまいた、ふたりのかわいらしい女の子が、それにのってゆられています。


この女の子たちよりも、大きい男きょうだいが、そのぶらんこに立ってのっています。男の子は、かた手にちいさなお皿をもってるし、かた手には土製のパイプをにぎっているので、からだをささえるために、つなにうでをまきつけています。男の子はシャボンだまをふいているのです。ぶらんこがゆれて、シャボンだまは、いろんなうつくしい色にかわりながらとんで行きます。


いちばんおしまいのシャボンだまは、風にゆられながら、まだパイプのところについています。ぶらんこはとぶようにゆれています。あら、シャボンだまのように身のかるい黒犬があと足で立って、のせてもらおうとしています。ぶらんこはゆれる、黒犬はひっくりかえって、ほえているわ。からかわれて、おこっているのね。シャボンだまははじけます。――ゆれるぶらんこ。われてこわれるシャボンだま。――これがわたしの歌なんです。」


「あなたのお話は、とてもおもしろそうね。けれどあなたは、かなしそうに話しているのね。それからあなたは、カイちゃんのことは、なんにも話してくれないのね。」
 ヒヤシンスの花は、どんなお話をしたでしょう。


「あるところに、三人の、すきとおるようにうつくしい、きれいな姉いもうとがおりました。なかでいちばん上のむすめの着物は赤く、二ばん目のは水色で、三ばん目のはまっ白でした。きょうだいたちは、手をとりあって、さえた月の光の中で、静かな湖みずうみのふちにでて、おどりをおどります。三人とも妖女ようじょではなくて、にんげんでした。


そのあたりには、なんとなくあまい、いいにおいがしていました。むすめたちは森のなかにきえました。あまい、いいにおいが、いっそうつよくなりました。すると、その三人のうつくしいむすめをいれた三つのひつぎが、森のしげみから、すうっとあらわれてきて、湖のむこうへわたっていきました。つちぼたるが、そのぐるりを、空に舞まっているちいさなともしびのように、ぴかりぴかりしていました。


おどりくるっていた三人のむすめたちは、ねむったのでしょうか。死んだのでしょうか。――花のにおいはいいました。あれはなきがらです。ゆうべの鐘かねがなくなったひとたちをとむらいます。」


「ずいぶんかなしいお話ね。あなたの、そのつよいにおいをかぐと、あたし死んだそのむすめさんたちのことを、おもいださずにはいられませんわ。ああ、カイちゃんは、ほんとうに死んでしまったのかしら。地のなかにはいっていたばらの花は、カイちゃんは死んではいないといってるけれど。」


「チリン、カラン。」と、ヒヤシンスのすずがなりました。「わたしはカイちゃんのために、なっているのではありません。カイちゃんなんて人は、わたしたち、すこしもしりませんもの。わたしたちは、ただ自分のしっているたったひとつの歌を、うたっているだけです。」


それから、ゲルダは、緑の葉のあいだから、あかるくさいている、たんぽぽのところへいきました。


「あなたはまるで、ちいさな、あかるいお日さまね。どこにわたしのおともだちがいるか、しっていたらおしえてくださいな。」と、ゲルダはいいました。


そこで、たんぽぽは、よけいあかるくひかりながら、ゲルダのほうへむきました。どんな歌を、その花がうたったでしょう。その歌も、カイのことではありませんでした。


「ちいさな、なか庭には、春のいちばんはじめの日、うららかなお日さまが、あたたかに照っていました。お日さまの光は、おとなりの家の、まっ白なかべの上から下へ、すべりおちていました。そのそばに、春いちばんはじめにさく、黄色い花が、かがやく光の中に、金のようにさいていました。


おばあさんは、いすをそとにだして、こしをかけていました。おばあさんの孫の、かわいそうな女中ぼうこうをしているうつくしい女の子が、おばあさんにあうために、わずかなおひまをもらって、うちへかえってきました。女の子はおばあさんにせっぷんしました。このめぐみおおいせっぷんには金きんが、こころの金きんがありました。その口にも金、そのふむ土にも金、そのあさのひとときにも金がありました。


これがわたしのつまらないお話です。」と、たんぽぽがいいました。


「まあ、わたしのおばあさまは、どうしていらっしゃるかしら。」と、ゲルダはためいきをつきました。「そうよ。きっとおばあさまは、わたしにあいたがって、かなしがっていらっしゃるわ。カイちゃんのいなくなったとおなじように、しんぱいしていらっしゃるわ。けれど、わたし、じきにカイちゃんをつれて、うちにかえれるでしょう。――もう花たちにいくらたずねてみたってしかたがない。花たち、ただ、自分の歌をうたうだけで、なんにもこたえてくれないのだもの。」


そこでゲルダは、はやくかけられるように、着物をきりりとたくしあげました。けれど、黄きずいせんを、ゲルダがとびこえようとしたとき、それに足がひっかかりました。そこでゲルダはたちどまって、その黄色い、背の高い花にむかってたずねました。
「あんた、カイちゃんのこと、なんかしっているの。」
 そしてゲルダは、こごんで、その花の話すことをききました。その花はなんといったでしょう。

Şi Gretchen şi-a pus poalele în brâu, ca să poată să meargă mai repede, şi a luat-o la fugă până în fundul grădinii.

「わたし、じぶんがみられるのよ。じぶんがわかるのよ。」と、黄ずいせんはいいました。「ああ、ああ、なんてわたしはいいにおいがするんだろう。屋根うらのちいさなへやに、半はだかの、ちいさなおどりこが立っています。おどりこはかた足で立ったり、両足で立ったりして、まるで世界中をふみつけるように見えます。でも、これはほんの目のまよいです。


おどりこは、ちいさな布ぬのに、湯わかしから湯をそそぎます。これはコルセットです。――そうです。そうです、せいけつがなによりです。白い上着うわぎも、くぎにかけてあります。それもまた、湯わかしの湯であらって、屋根でかわかしたものなのです。


おどりこは、その上着をつけて、サフラン色のハンケチをくびにまきました。ですから、上着はよけい白くみえました。ほら、足をあげた。どう、まるでじくの上に立って、うんとふんばった姿は。わたし、じぶんが見えるの。じぶんがわかるの。」


「なにもそんな話、わたしにしなくてもいいじゃないの。そんなこと、どうだって、かまわないわ。」と、ゲルダはいいました。
 それでゲルダは、庭のむこうのはしまでかけて行きました。


その戸はしまっていましたが、ゲルダがそのさびついたとってを、どんとおしたので、はずれて戸はぱんとひらきました。ゲルダはひろい世界に、はだしのままでとびだしました。

Portiţa era închisă, dar ea a apăsat pe clanţa ruginită şi clanţa s-a ridicat, portiţa s-a deschis şi Gretchen a pornit în lumea largă, desculţă cum era.

ゲルダは、三度どもあとをふりかえってみましたが、たれもおっかけてくるものはありませんでした。とうとうゲルダは、もうとてもはしることができなくなったので、大きな石の上にこしをおろしました。そこらをみまわしますと、夏はすぎて、秋がふかくなっていました。お日さまが年中かがやいて、四季しきの花がたえずさいていた、あのうつくしい花ぞのでは、そんなことはわかりませんでした。

S-a uitat de câteva ori înapoi, dar n-o urmărea nimeni. De la o vreme n-a mai putut merge şi s-a aşezat pe un bolovan şi când s-a uitat împrejur a văzut că nu mai era vară, era toamnă târziu; în grădina babei, în care era mereu cald şi erau flori din toate anotimpurile, nu puteai să-ţi dai seama cum trece vremea.

「ああ、どうしましょう。あたし、こんなにおくれてしまって。」と、ゲルダはいいました。「もうとうに秋になっているのね。さあ、ゆっくりしてはいられないわ。」

— Doamne, cum am mai întârziat! a spus Gretchen. Uite că-i toamnă, nu mai pot să zăbovesc! Şi s-a ridicat şi a pornit iar la drum.

そしてゲルダは立ちあがって、ずんずんあるきだしました。まあ、ゲルダのかよわい足は、どんなにいたむし、そして、つかれていたことでしょう。どこも冬がれて、わびしいけしきでした。ながいやなぎの葉は、すっかり黄ばんで、きりが雨しずくのように枝からたれていました。ただ、とげのある、こけももだけは、まだ実みをむすんでいましたが、こけももはすっぱくて、くちがまがるようでした。

Vai, picioruşele ei erau obosite şi zgâriate! De jur împrejur era urât şi frig. Crengile pletoase ale sălciilor erau galbene şi frunzele cădeau smulse de vânt şi numai porumbarul mai avea poame, dar nu erau bune. Şi când Gretchen a încercat să mănânce din ele, i-au făcut gura pungă de acre ce erau.

ああ、なんてこのひろびろした世界は灰色で、うすぐらくみえたことでしょう。

Trist şi urât era în lumea largă!

第四のお話。王子と王女

A patra povestire. Un prinţ şi o prinţesă

ゲルダは、またも、やすまなければなりませんでした。ゲルダがやすんでいた場所の、ちょうどむこうの雪の上で、一わの大きなからすが、ぴょんぴょんやっていました。このからすは、しばらくじっとしたなりゲルダをみつめて、あたまをふっていましたが、やがてこういいました。
「カア、カア、こんちは。こんちは。」

Gretchen iar a trebuit să stea şi să se odihnească. Deodată, în faţa ei, pe zăpadă, a zărit un cioroi. Cioroiul s-a uitat la ea, a dat din cap şi a spus: „Crrr! Crrr! Bună ziua! Bună ziua!”

からすは、これよりよくは、なにもいうことができませんでしたが、でも、ゲルダをなつかしくおもっていて、このひろい世界で、たったひとりぼっち、どこへいくのだといって、たずねました。

Mai bine nu putea să vorbească, dar era prietenos şi a întrebat-o pe fetiţă încotro a pornit aşa, singură.

この「ひとりぼっち。」ということばを、ゲルダはよくあじわって、しみじみそのことばに、ふかいいみのこもっていることをおもいました。ゲルダはそこでからすに、じぶんの身の上のことをすっかり話してきかせた上、どうかしてカイをみなかったか、たずねました。

Cuvântul „singură” Gretchen l-a înţeles foarte bine şi a priceput ce înseamnă asta. Îi povesti cioroiului toată viaţa ei şi tot ce păţise şi-l întrebă dacă nu l-a văzut pe Karl.

するとからすは、ひどくまじめにかんがえこんで、こういいました。
「あれかもしれない。あれかもしれない。」

Cioroiul a clătinat din cap pe gânduri şi a spus:
— S-ar putea!

「え、しってて。」と、ゲルダは大きなこえでいって、からすをらんぼうに、それこそいきのとまるほどせっぷんしました。

— Cum? Crezi că da? a întrebat fetiţa, l-a sărutat pe cioroi şi l-a strâns în braţe mai să-l înăbuşe.

「おてやわらかに、おてやわらかに。」と、からすはいいました。「どうも、カイちゃんをしっているような気がします。たぶん、あれがカイちゃんだろうとおもいますよ。けれど、カイちゃんは、王女さまのところにいて、あなたのことなどは、きっとわすれていますよ。」

— Încet, încet! a spus cioroiul. Cred că ştiu… cred că-i el. Da’ acuma mi se pare că de când cu prinţesa… pe tine te-a uitat.

「カイちゃんは、王女さまのところにいるんですって。」と、ゲルダはききました。

— Stă la o prinţesă? a întrebat Gretchen.

「そうです。まあ、おききなさい。」と、からすはいいました。「どうも、わたしにすると、にんげんのことばで話すのは、たいそうなほねおりです。あなたにからすのことばがわかると、ずっとうまく話せるのだがなあ。」

— Da, îţi spun eu toată povestea, numai că-mi vine greu să vorbesc în limba ta. Nu cunoşti limba ciorilor? Mi-ar fi mai uşor!

「まあ、あたし、ならったことがなかったわ。」と、ゲルダはいいました。「でも、うちのおばあさまは、おできになるのよ。あたし、ならっておけばよかった。」

— Nu, n-am învăţat limba ciorilor, a răspuns Gretchen.

「かまいませんよ。」と、からすはいいました。「まあ、できるだけしてみますから。うまくいけばいいが。」
それからからすは、しっていることを、話しました。

— Bine, nu face nimic! Am să-ţi istorisesc şi eu cum oi putea! Şi i-a istorisit ce ştia.

「わたしたちがいまいる国には、たいそうかしこい王女さまがおいでなるのです。なにしろ世界中のしんぶんをのこらず読んで、のこらずまたわすれてしまいます。まあそんなわけで、たいそうりこうなかたなのです。

— În împărăţia asta în care suntem acuma stă o prinţesă care e foarte deşteaptă; aşa-i de deşteaptă, că a citit toate gazetele din lume şi le-a uitat!

さて、このあいだ、王女さまは玉座ぎょくざにおすわりになりました。玉座というものは、せけんでいうほどたのしいものではありません。そこで王女さまは、くちずさみに歌をうたいだしました。その歌は『なぜに、わたしは、むことらぬ』といった歌でした。

Deunăzi şedea pe tron şi asta pare-se că nu-i lucru plăcut, şi şezând ea aşa pe tron, a început să cânte un cântec! „De ce nu m-aş mărita?”

そこで、『なるほど、それももっともだわ。』と、いうわけで、王女さまはけっこんしようとおもいたちました。でも夫おっとにするなら、ものをたずねても、すぐとこたえるようなのがほしいとおもいました。だって、ただそこにつっ立って、ようすぶっているだけでは、じきにたいくつしてしまいますからね。

Chiar aşa s-a gândit ea: „de ce nu m-aş mărita? Ia să încerc!”. — Dar ea voia să găsească un bărbat care să ştie ce să răspundă când stai de vorbă cu el, unul care să şi vorbească, nu numai să şadă, arătos şi dichisit, pe tron, că ar fi prea plicticos.

そこで、王女さまは、女官じょかんたち、のこらずおめしになって、このもくろみをお話しになりました。女官たちは、たいそうおもしろくおもいまして、
『それはよいおもいつきでございます。わたくしどもも、ついさきごろ、それとおなじことをかんがえついたしだいです。』などと申しました。
「わたしのいっていることは、ごく、ほんとうのことなのですよ。」と、からすはいって、「わたしには、やさしいいいなずけがあって、その王女さまのお城に、自由にとんでいける、それがわたしにすっかり話してくれたのです。」と、いいそえました。

Prinţesa a pus să bată toba, să s-adune doamnele de onoare, şi când acestea au venit şi au auzit, au fost foarte mulţumite. „Iacă o veste plăcută, au spus ele, la asta chiar ne gândeam şi noi!”. Şi să ştii că tot ce-ţi spun eu e adevărat, a zis cioroiul; eu am o iubită, e domesticită şi stă la curte, ea mi-a povestit tot.

いうまでもなく、その、いいなずけというのはからすでした。というのは、にたものどうしで、からすはやはり、からすなかまであつまります。

Iubita lui era bineînţeles o cioară. Pentru că cioara la cioară trage, asta-i ştiut, şi tot cioară rămâne.

ハートと、王女さまのかしらもじでふちどったしんぶんが、さっそく、はっこうされました。それには、ようすのりっぱな、わかい男は、たれでもお城にきて、王女さまと話すことができる。そしてお城へきても、じぶんのうちにいるように、気やすく、じょうずに話した人を、王女は夫としてえらぶであろうということがかいてありました。

— A doua zi, ziarele au apărut cu un chenar de inimi şi cu numele prinţesei în chenar. Scria acolo că orice tânăr plăcut la înfăţişare poate să vie la palat şi să stea de vorbă cu prinţesa şi acela care ştie să vorbească mai bine şi în aşa fel, de parcă ar fi la el acasă, pe acela prinţesa are să-l ia de bărbat.

「そうです。そうです。あなたはわたしをだいじょうぶ信じてください。この話は、わたしがここにこうしてすわっているのとどうよう、ほんとうの話なのですから。」と、からすはいいました。
「わかい男の人たちは、むれをつくって、やってきました。そしてたいそう町はこんざつして、たくさんの人が、あっちへいったり、こっちへきたり、いそがしそうにかけずりまわっていました。でもはじめの日も、つぎの日も、ひとりだってうまくやったものはありません。

Da, da, a spus cioroiul, e chiar aşa cum zic, poţi să mă crezi, e adevărat aşa cum mă vezi şi te văd. Au venit o mulţime, era o îngrămădeală şi un du-te vino necontenit, dar nici în ziua întâi, nici în a doua nu s-a ales nimic din treaba asta.

みんなは、お城のそとでこそ、よくしゃべりましたが、いちどお城の門をはいって、銀ずくめのへいたいをみたり、かいだんをのぼって、金ぴかのせいふくをつけたお役人に出あって、あかるい大広間にはいると、とたんにぽうっとなってしまいました。そして、いよいよ王女さまのおいでになる玉座の前に出たときには、たれも王女さまにいわれたことばのしりを、おうむがえしにくりかえすほかありませんでした。王女さまとすれば、なにもじぶんのいったことばを、もういちどいってもらってもしかたがないでしょう。

Toţi puteau să vorbească bine când erau pe stradă, dar de îndată ce intrau pe poarta palatului şi vedeau garda în zale de argint şi pe scări slujitori înmuiaţi în fir, şi treceau prin sălile şi galeriile palatului cu covoare scumpe şi policandre de cristal, se zăpăceau. Şi când ajungeau în faţa tronului pe care şedea prinţesa, nu mai puteau să spuie nimic decât doar cuvântul cel din urmă pe care-l rostise prinţesa şi bineînţeles că ea n-avea poftă să mai audă o dată ce spusese tot ea.

ところが、だれも、ごてんのなかにはいると、かぎたばこでものまされたように、ふらふらで、おうらいへでてきて、やっとわれにかえって、くちがきけるようになる。

Parcă-i apuca pe toţi o toropeală cât erau în palat şi abia după ce ieşeau de acolo se trezeau şi începeau iar să vorbească.

なにしろ町の門から、お城の門まで、わかいひとたちが、れつをつくってならんでいました。わたしはそれをじぶんで見てきましたよ。」と、からすが、ねんをおしていいました。「みんなは自分のばんが、なかなかまわってこないので、おなかがすいたり、のどがかわいたりしましたが、ごてんの中では、なまぬるい水いっぱいくれませんでした。

Şi era un şirag de oameni care ţinea de la porţile oraşului până la poarta palatului. Eram şi eu pe-acolo, a spus cioroiul. Le era sete şi foame de-atâta aşteptare, dar când ajungeau la palat nu le dădea nimeni nici măcar un pahar cu apă.

なかで気のきいたせんせいたちが、バタパンご持参で、やってきていましたが、それをそばの人にわけようとはしませんでした。このれんじゅうの気では――こいつら、たんとひもじそうな顔をしているがいい。おかげで王女さまも、ごさいようになるまいから――というのでしょう。」

Unii mai deştepţi îşi luaseră câteva felii de pâine cu unt, dar nu dădeau şi altora, fiindcă se gândeau: „Las’ să fie lihniţi de foame, că dacă-i vede prinţesa aşa de prăpădiţi, nu-i alege”.

「でも、カイちゃんはどうしたのです。いつカイちゃんはやってきたのです。」と、ゲルダはたずねました。「カイちゃんは、その人たちのなかまにいたのですか。」

— Şi Karl? a întrebat Gretchen; el când a venit? Era şi el acolo?

「まあまあ、おまちなさい。これから、そろそろ、カイちゃんのことになるのです。ところで、その三日目に、馬にも、馬車にものらないちいさな男の子が、たのしそうにお城のほうへ、あるいていきました。その人の目は、あなたの目のようにかがやいて、りっぱな、長いかみの毛をもっていましたが、着物はぼろぼろにきれていました。」

— Stai puţin că-ţi spun îndată! A treia zi a venit un domnişor, dar nu călare, nici cu trăsura, ci pe jos; era vesel şi ochii îi străluceau ca şi ai tăi acuma, şi avea un păr lung şi frumos, dar era cam prost îmbrăcat.

「それがカイちゃんなのね。ああ、それでは、とうとう、あたし、カイちゃんをみつけたわ。」と、ゲルダはうれしそうにさけんで、手をたたきました。

— Karl era! s-a bucurat Gretchen. Bine că l-am găsit! Şi a bătut din palme de bucurie.

「その子は、せなかに、ちいさなはいのうをしょっていました。」と、からすがいいました。

— Avea o raniţă în spate, a spus cioroiul.

「いいえ、きっと、それは、そりよ。」と、ゲルダはいいました。「カイちゃんは、そりといっしょに見えなくなってしまったのですもの。」

— Nu, trebuie să fi fost săniuţa! a spus Gretchen. Şi-a luat săniuţa când a plecat.

「なるほど、そうかもしれません。」と、からすはいいました。「なにしろ、ちょっと見ただけですから。しかし、それは、みんなわたしのやさしいいいなずけからきいたのです。それから、その子はお城の門をはいって、銀の軍服ぐんぷくのへいたいをみながら、だんをのぼって、金ぴかのせいふくのお役人の前にでましたが、すこしもまごつきませんでした。それどころか、へいきでえしゃくして、

— Se poate, a zis cioroiul, nu m-am uitat bine, dar iubita mea domesticită mi-a spus că atunci când a intrat în palat şi a văzut garda în zale de argint şi slujitorii pe scări, înmuiaţi în fir, el nu s-a fâstâcit deloc, a dat din cap către ei şi le-a spus:

『かいだんの上に立っているのは、さぞたいくつでしょうね。ではごめんこうむって、わたしは広間にはいらせてもらいましょう。』

„Nu vă plictisiţi să staţi mereu pe scări? Eu mă duc înainte!”

と、いいました。広間にはあかりがいっぱいついて、枢密顧問官すうみつこもんかんや、身分の高い人たちが、はだしで金の器うつわをはこんであるいていました。そんな中で、たれだって、いやでもおごそかなきもちになるでしょう。ところへ、その子のながぐつは、やけにやかましくギュウ、ギュウなるのですが、いっこうにへいきでした。」

Sala cea mare strălucea de lumina policandrelor, curteni de tot felul umblau uşurel şi ţineau în mână ulcele de aur. Ghetele lui scârţâiau grozav, dar el nici nu se sinchisea de asta şi era ca la el acasă.

「きっとカイちゃんよ。」と、ゲルダがさけびました。 「だって、あたらしい長ぐつをはいていましたもの。わたし、そのくつがギュウ、ギュウいうのを、おばあさまのへやできいたわ。」

— Sigur că-i Karl, a spus Gretchen. Avea ghete noi şi scârţâiau când umbla cu ele în odaia bunicii, l-am auzit eu.

「そう、ほんとうにギュウ、ギュウってなりましたよ。」と、からすはまた話しはじめました。 「さて、その子は、つかつかと、糸車ほどの大きなしんじゅに、こしをかけている、王女さまのご前ぜんに進みました。王女さまのぐるりをとりまいて、女官たちがおつきを、そのおつきがまたおつきを、したがえ、侍従じじゅうがけらいの、またそのけらいをしたがえ、それがまた、めいめい小姓こしょうをひきつれて立っていました。しかも、とびらの近くに立っているものほど、いばっているように見えました。

— Da, scârţâiau, spuse cioroiul. Domnişorul acela s-a dus drept la prinţesă. Prinţesa şedea pe un mărgăritar, mare cât o roată de moară. Toate doamnele de la curte cu cameristele lor şi cu cameristele cameristelor şi toţi curtenii lor şi cu slujitorii slujitorilor care şi ei, la rândul lor, aveau câte o slugă stăteau adunaţi de jur împrejur; şi cei care erau mai aproape de uşă, aceia erau mai mândri.

しじゅう、うわぐつであるきまわっていた、けらいのけらいの小姓なんか、とてもあおむいて顔が見られないくらいでした。とにかく、戸ぐちのところでいばりかえっているふうは、ちょっと見ものでした。」

Până şi sluga celui de pe urmă slujitor, care sta drept în uşă şi umbla numai cu pantofi, era atât de mândră şi înfumurată că nu-i ajungeai nici cu prăjina la nas!

「まあ、ずいぶんこわいこと。それでもカイちゃんは、王女さまとけっこんしたのですか。」と、ゲルダはいいました。

— Groaznic trebuie să mai fie! a spus Gretchen. Şi Karl s-a însurat cu prinţesa?

「もし、わたしがからすでなかったなら、いまのいいなずけをすてても、王女さまとけっこんしたかもしれません。人のうわさによりますと、その人は、わたしがからすのことばを話すときとどうよう、じょうずに話したということでした。わたしは、そのことを、わたしのいいなずけからきいたのです。

— Dacă n-aş fi cioroi, m-aş fi însurat eu cu ea, neapărat, cu toate că sunt logodit. Drăguţa mea, cioara cea domestică, zice că el a vorbit tot aşa de bine cum vorbesc eu când vorbesc limba ciorilor.

どうして、なかなかようすのいい、げんきな子でした。それも王女さまとけっこんするためにきたのではなくて、ただ、王女さまがどのくらいかしこいか知ろうとおもってやってきたのですが、それで王女さまがすきになり、王女さまもまたその子がすきになったというわけです。」

Era drăguţ şi vesel domnişorul şi zicea că n-a venit să-i ceară mâna, ci numai aşa, fiindcă auzise de deşteptăciunea prinţesei şi voia să stea cu ea de vorbă. Dar după aceea şi ea i-a plăcut lui şi el ei.

「そう、いよいよ、そのひと、カイちゃんにちがいないわ。カイちゃんは、そりゃりこうで、分数まであんざんでやれますもの――ああ、わたしを、そのお城へつれていってくださらないこと。」と、ゲルダはいいました。

— Da, desigur că e Karl, spuse Gretchen. Şi el e deştept şi ştie să facă socoteli în gând, cu fracţii. Nu vrei să mă bagi şi pe mine în palat?

「さあ、くちでいうのはたやすいが、どうしたら、それができるか、むずかしいですよ。」と、からすはいいました。「ところで、まあ、それをどうするか、まあ、わたしのいいなずけにそうだんしてみましょう。きっと、いいちえをかしてくれるかもしれません。なにしろ、あなたのような、ちいさな娘さんが、お城の中にはいることは、ゆるされていないのですからね。」

— Asta-i uşor de spus, dar cum să facem oare? Am să vorbesc cu drăguţa mea, are să găsească ea ceva; pentru că să ştii că unei fetiţe aşa ca tine nu i se dă voie în palat.

「いいえ、そのおゆるしならもらえてよ。」と、ゲルダがこたえました。「カイちゃんは、わたしがきたときけば、すぐに出てきて、わたしをいれてくれるでしょう。」

— Las’ că intru eu, a spus Gretchen. Când află Karl că am sosit, îndată vine jos şi mă ia cu el.

「むこうのかきねのところで、まっていらっしゃい。」と、からすはいって、あたまをふりふりとんでいってしまいました。

— Aşteaptă-mă colo la portiţă, a spus cioroiul, apoi a clătinat din cap şi şi-a luat zborul. Abia către seară s-a întors.

そのからすがかえってきたときには、晩もだいぶくらくなっていました。
「すてき、すてき。」と、からすはいいました。「いいなずけが、あなたによろしくとのことでしたよ。さあ、ここに、すこしばかりパンをもってきてあげました。さぞ、おなかがすいたでしょう。いいなずけが、だいどころからもってきたのです。そこにはたくさんまだあるのです。

— Drăguţa mea îţi trimite multe salutări şi îţi mai trimite şi o chiflă, a luat-o din bucătărie, au acolo destule. Ia-o, că ţi-o fi foame.

――どうも、お城へはいることは、できそうもありませんよ。なぜといって、あなたはくつをはいていませんから、銀の軍服のへいたいや、金ぴかのせいふくのお役人たちが、ゆるしてくれないでしょうからね、だがそれで泣いてはいけない。きっと、つれて行けるくふうはしますよ。わたしのいいなずけは、王女さまのねまに通じている、ほそい、うらばしごをしっていますし、そのかぎのあるところもしっているのですからね。」

În palat e cu neputinţă să intri, fiindcă eşti desculţă şi garda cu zale de argint şi slujitorii înmuiaţi în fir n-au să te lase. Stai, nu plânge, că tot ai să poţi intra. Drăguţa mea ştie o scară pe din dos, pe unde ajungi în iatac şi ştie unde-i cheia.

そこで、からすとゲルダとは、お庭をぬけて、木の葉があとからあとからと、ちってくる並木道なみきみちを通りました。そして、お城のあかりが、じゅんじゅんにきえてしまったとき、からすはすこしあいているうらの戸口へ、ゲルダをつれていきました。

Cioroiul şi cu Gretchen au intrat în grădină, pe aleea cea mare, pe care cădeau mereu frunzele din copaci, şi după ce la palat s-au stins luminile, una câte una, cioroiul a dus-o pe Gretchen la o uşă de din dos care era numai împinsă, nu închisă.

まあ、ゲルダのむねは、こわかったり、うれしかったりで、なんてどきどきしたことでしょう。まるでゲルダは、なにかわるいことでもしているような気がしました。けれど、ゲルダはその人が、カイちゃんであるかどうかをしりたい、いっしんなのです。

O, cum îi mai bătea Gretei inima! Parcă ar fi vrut să facă un lucru rău şi ea doar atâta voia, să vadă dacă Karl e acolo.

そうです。それはきっと、カイちゃんにちがいありません。ゲルダは、しみじみとカイちゃんのりこうそうな目つきや、長いかみの毛をおもいだしていました。そして、ふたりがうちにいて、ばらの花のあいだにすわってあそんだとき、カイちゃんがわらったとおりの笑顔えがおが、目にうかびました。

Şi acolo era, fără îndoială! Şi ea se gândea la ochii lui limpezi şi la părul lung: parcă îl vedea cum zâmbeşte ca atunci când şedeau amândoi la umbra trandafirilor.